Notionで顧客オンボーディングを仕組み化する方法|クライアントの提出・対応漏れを防ぐ

キックオフの翌週、クライアントから素材がまだ届かない——気づいたら初回MTGの前日だった、という進行の詰まりは、だいたい「誰が・いつまでに・何を出すか」が宙に浮いているときに起きます。契約書、ロゴデータ、管理画面のアクセス権、初回アンケート。どれも「お願いしてある」つもりなのに、こちらが追わないと止まる。
この記事は、制作会社・フリーランス・SaaS/コンサルなどで新規クライアントの立ち上げを担当する人に向けて、オンボーディングの初期タスクと提出依頼をNotionのデータベースで定型化し、クライアント側の提出・対応の遅れや漏れを、相手(=Notionを使わない社外)にもメールで自動リマインドして防ぐ具体的な作り方を解説します。読み終えると、毎回ゼロから案内する手作業と、提出待ちの手動巡回を減らせます。
この記事の要点(TL;DR)
- 顧客オンボーディングの仕組み化とは、キックオフ・契約・素材提出・初回MTG設定などの定型タスクを「テンプレート化されたNotion DB」に落とし込み、毎回同じ品質で回すこと。
- つまずきの多くは手順の属人化ではなく「提出・対応のリマインドが手作業で残っている」点にある。催促する人がいないタスクは止まる。
- Notionの数式(例:
dateBetween)で残り日数を出し、期日が近い/過ぎたタスクをビューで抽出すれば、追うべき対象がひと目で分かる。- ただしNotion標準のリマインダーはワークスペース内メンバー向けで、Notionを使わないクライアントには届かない。ここを埋めるのが外部通知レイヤー。
- Kapselとは、Notionの期日・担当・ステータスを監視し、Notionを使わない社外の相手にもメールで自動リマインドを送り、受信者のワンクリックでNotionのステータスに書き戻す通知ツールです。完了・済みのタスクには送りません。
顧客オンボーディングを仕組み化するとは
顧客オンボーディングとは、契約が決まった新規クライアントを「実務が回る状態」まで立ち上げる一連の工程です。制作会社なら素材・原稿・アクセス権の回収、SaaSなら初期設定とアカウント発行、コンサルなら現状ヒアリングと初回設計、といった具合に中身は違っても、構造はよく似ています。
仕組み化とは、この工程を担当者の記憶や気合いに頼らず、毎回同じ手順・同じ期日管理で回せる状態にすることです。具体的には、やるべきタスクをテンプレート化されたNotionデータベースに並べ、各タスクに「担当(自社/先方)」「提出期日」「ステータス」を持たせます。
💡 ポイント:仕組み化のゴールは「手順書を作ること」ではなく「追わなくても進む状態」を作ることです。手順を書いただけでは、提出待ちのタスクは結局だれかが人力で催促することになります。
内部リンク:顧客管理そのものの設計は NotionでCRMを作る を、制作会社の案件進行全体は 制作会社の案件管理ワークフロー を参照してください。
オンボーディングでつまずく典型(提出遅れ・対応漏れ・属人化)
実務で止まるポイントは、だいたい次の3つに集約されます。
- 提出遅れ:素材・契約書・アクセス権が期日を過ぎても届かない。こちらが気づいて催促するまで放置される。
- 対応漏れ:依頼したこと自体を忘れる、あるいは「送ったつもり/受け取ったつもり」で双方の認識がずれる。
- 属人化:ベテランは段取りよく進めるが、担当が変わると抜けが出る。チェックリストが各自の頭の中にある。
このうち属人化はテンプレート化で解けます。やっかいなのは提出遅れと対応漏れで、これはテンプレートを作っても消えません。なぜなら、リマインドの実行が人の手に残るからです。
Notionにはリマインダーやデータベースオートメーションがありますが、これらの通知は基本的に同じワークスペースのメンバーに向いています。クライアントはたいていNotionを使っていないので、相手に届けるには別の経路が要ります。相手にNotionアカウントを作って招待する手もありますが、ログインを求めた時点で招待が放置されがちです。
⚠️ 注意:クライアント側にNotionを触らせようとすると、招待メールが開かれないまま止まることがよくあります。相手の作業はメールで完結させるほうが、現実には動きます。詳しくは Notionを使わない相手にメールで届ける を参照してください。
NotionでオンボーディングDBを設計する(プロパティ・数式・ビュー)
まず、オンボーディングタスクを管理するデータベースを1つ作ります。1行=1タスク、クライアントごとにグルーピングする構成が扱いやすいです。
持たせるプロパティ
| プロパティ名 | 種類 | 用途 |
|---|---|---|
| タスク名 | タイトル | 「NDA締結」「ロゴデータ提出」など |
| クライアント名 | 選択 / リレーション | 案件・顧客でグルーピング |
| 担当 | 選択 | 自社 / クライアント |
| ステータス | ステータス | 未着手 / 依頼中 / 提出済 / 完了 |
| 提出期日 | 日付 | リマインドの基準になる |
| 宛先メール | メール | クライアント担当者の連絡先 |
| 残り日数 | 数式 | 期日までの日数を自動計算 |
「宛先メール」をメールプロパティで持たせておくのが後の自動化の肝になります。ここに入れたアドレスが、そのまま通知の送り先になります。
残り日数を数式で出す
「残り日数」プロパティに次のような式を入れると、今日から提出期日までの日数が自動で出ます。
dateBetween(prop("提出期日"), now(), "days")
結果がマイナスなら期日超過、0なら当日、プラスなら残り日数です。これを使えば、どのタスクが危ないかを目視で探さずに済みます。
ビューで「追うべき対象」を抽出する
数式ができたら、ビューのフィルタで絞り込みます。
- 今週提出ビュー:
残り日数が 0〜3 かつステータスが「完了」以外 - 超過ビュー:
残り日数が 0 未満 かつステータスが「完了」以外 - クライアント別ビュー:
クライアント名でグループ化し、進捗をまとめて確認
💡 ポイント:期日フィルタは相対日付(「今日より前」など)でも組めます。数式で残り日数を数値にしておくと、しきい値(3日以内など)を柔軟に変えられて使い回しが利きます。
ここまでで「どのタスクを、いつ、誰に追うべきか」はNotion上で可視化できました。ただし、可視化はこちらが見に行く行為です。見に行かない日があれば、やはり漏れます。次はここを自動化します。
テンプレートとして使い回したい場合は Notionテンプレートまとめ も参考になります。
期日前後のリマインドを自動化する(Kapsel接続)
可視化したタスクを「追わなくても相手に届く」状態にするのが、外部通知レイヤーのKapselです。Notionと接続し、先ほど作ったDBを監視対象に指定します。
- 毎朝DBを開いて期日超過を探す
- 一件ずつメールを手で書いて催促
- 見落とした案件だけ提出が止まる
- 担当が休むと巡回そのものが抜ける
- 期日が近い/過ぎた未提出だけ抽出
- 対象のクライアントへ自動でメール送信
- 完了・提出済みには送らない
- 巡回ゼロ。追うのを忘れても進む
接続後に設定できる主な項目は次のとおりです。それぞれ「だから何が楽になるか」を添えます。
- 監視対象の指定:上で作ったオンボーディングDBと、基準にする日付プロパティ(提出期日)を選ぶ。→ 追う基準が1か所に固定される。
- 送信対象の絞り込み:担当・ステータス・DB単位で対象を限定(例:担当=クライアント かつ ステータス=依頼中)。→ 自社タスクやクライアント向けでないものに誤送信しない。
- 定期便:一定間隔で未対応分だけをまとめて送る。→ 「毎週月曜に未提出を案内」を自動で回せる。
- 差し込み変数:
{クライアント名}などをNotionプロパティから差し替えて本文を生成。→ 1通ずつ宛名を書き換えなくても、相手ごとの文面になる。 - 送信記録:いつ・誰に・何を送ったかが残る。→ 「催促したか」を記憶に頼らず確認できる。
- 完了・済みには送らない:ステータスが「完了」「提出済」になった対象は送信対象から自動で外れる。→ 提出済みの相手に催促が飛ぶ事故を防げる。
期日起点のメール通知の基本は 期日を自動でメール通知する方法 でも解説しています。
⚠️ 注意:絞り込み条件を「ステータス=依頼中」に限定しておくと、未着手や社内確認中のタスクまで相手に届くのを防げます。最初は狭めに設定して、送信記録を見ながら広げるのが安全です。
クライアント(非Notionユーザー)にもメールで届ける
オンボーディングで動かしたい相手は、ほとんどの場合Notionを使っていないクライアントです。Kapselのメールは受信者にNotionアカウントもログインも求めません。普段メールを受け取るのと同じように届き、本文には「何を・いつまでに」提出すればよいかが差し込み変数で入ります。
これにより、相手にツールの使い方を覚えてもらう必要がなくなります。招待が放置される問題も起きません。クライアント側の負担は「届いたメールを読む」だけになります。
メールの差出人表示を会社名・署名・ロゴでそろえたい場合は、後述のProプランで差出人ブランディングが使えます。
受信者の返信でNotionが自動更新(双方向)
Kapselの通知メールには、受信者がワンクリックで状態を返せる導線が含まれます。クライアントが「提出しました」などに相当するアクションを押すと、その操作がNotionのステータスプロパティに書き戻されます。
つまり、クライアントがNotionを触らなくても、こちら側のNotionボードは最新の状態に更新されます。手作業でステータスを付け替える工程が減り、「言った/言わない」のずれも起きにくくなります。進捗をクライアントと共有する観点は クライアントと進捗を共有する も合わせてどうぞ。
料金
Kapselは無料から使い始められます。税込価格は次のとおりです。
| プラン | 月額(税込) | 主な内容 |
|---|---|---|
| Free | ¥0 | 0円のまま利用可。まず試すとき |
| Standard | ¥1,980 | 本格運用の送信・定期便・絞り込み |
| Pro | ¥4,980 | 複数のNotionワークスペース・差出人ブランディング(会社名/署名/ロゴ) |
複数の事業・クライアント環境をワークスペースで分けている場合や、差出人の見え方を自社ブランドでそろえたい場合はProプランが対象になります。
よくある質問(FAQ)
Notionで顧客オンボーディングは管理できる?
できます。タスク・担当・期日・ステータスをプロパティに持つデータベースを作り、クライアントごとにグルーピングすれば、立ち上げ工程を一元管理できます。期日前後のリマインドをクライアントに届ける部分だけは標準機能の範囲外になるため、外部の通知ツールで補います。
オンボーディング テンプレートの作り方は?
定型タスク(契約・NDA、素材・アクセス権の提出、初回MTG設定、初期設定など)を1つのDBに並べ、「担当」「提出期日」「ステータス」「宛先メール」のプロパティを付けます。これをNotionのテンプレートとして保存し、新規クライアントごとに複製すれば、毎回同じ手順で立ち上げられます。
クライアントがNotionを使わない場合は?
Kapselのメールは受信者にNotionアカウントもログインも不要です。クライアントは届いたメールを読み、必要ならワンクリックで状態を返すだけで済みます。相手をNotionに招待する必要はありません。
リマインドは自動化できる?
できます。Notionの期日・ステータスを監視し、期日が近い/過ぎた未対応タスクだけを抽出して、対象のクライアントへ自動でメールを送れます。定期便を使えば、一定間隔で未提出分だけをまとめて送れます。
提出済みの相手に催促が飛ぶ心配は?
ステータスが「完了」「提出済」になった対象は、送信対象から自動的に外れます。完了・済みのタスクには送らないため、対応済みの相手に催促メールが届く事故を避けられます。
宛名やタスク名を1通ずつ書き換える必要は?
ありません。差し込み変数で {クライアント名} などをNotionのプロパティから差し替えられるため、1回の設定で相手ごとの文面が生成されます。
送った履歴は残る?
残ります。いつ・誰に・何を送ったかが送信記録として確認できるため、「催促したかどうか」を記憶に頼らずに把握できます。
複数のクライアント環境をまとめて管理したい
送信対象はDB・担当・ステータス単位で絞り込めます。Notionワークスペース自体を分けて運用している場合は、Proプランで複数ワークスペースに対応します。
補足・注記
- 本記事の公開日は2026年10月16日です。
- Notionの機能・数式に関する一次情報はNotion公式ヘルプを、各サービスの仕様は各社公式情報をご確認ください。
- Kapselの機能・料金は執筆時点で実装済みの範囲を記載しています。最新の内容は getkapsel.com でご確認ください。


